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ロボット支援手術 – da Vinci Xi –

ロボット支援手術―davinci―

ロボット支援手術時代の幕開け

国内では2012年4月に泌尿器科での前立腺悪性腫瘍に対するロボット支援手術が保険適用となり、ロボット支援手術の時代が幕を開けました。当初、前立腺悪性腫瘍手術や腎悪性腫瘍の腎部分切除術など保険適用が泌尿器科に限定的であったため、導入施設も大学病院などの施設のみで少数でした。しかし、2018年4月に 肺がんや胃がん、直腸がんに対する切除・摘出術、子宮筋腫や同内膜症に対する全摘術、子宮がんなどに対する子宮悪性腫瘍手術、進行性膀胱悪性腫瘍に対する膀胱全摘術などが一斉に保険適用となり導入施設は一気に増えています。

 

手術支援用ロボットの進化

ロボット支援手術が注目され始めると、手術支援用ロボットも日々進化していきます。手術支援用ロボットの一つである「da Vinciサージカルシステム」(以下、「ダヴィンチ」)は3本アームだった初期型のダヴィンチSからSiへ、さらに手振れ防止やカメラの細径化にバージョンアップされた4本アームのX、Xiへと進化していき、緻密な作業、傷の縮小化が行えるようになったことでロボット支援手術の効果がより期待できるようになりました。2021年4月には国内で約400台の「ダヴィンチ」が稼働し、ロボット支援手術の普及に大きな役割を担っています。

davinci手術1

手術方法と患者へのメリット

「ダヴィンチ」によるロボット支援手術は、ロボット技術を用いて小さな傷口で複雑な手術を行い、患者の体に負担が少ない低侵襲の手術をするために開発されました。同手術は、人間がロボット技術を搭載したアームを遠隔操作して行うもので、AIロボットが自動で施術するわけではありません 。「ダヴィンチ」はロボット部(写真②)と助手用の映像カート(同 ③)、箱型の操作部(同 ①)で構成されています。


患者の体に挿入されるロボット部は先端に鉗子やメス、内視鏡などを取りつける4本のロボットアーム持っています。箱型の操作部に手術を行う医師が座り、映し出される鮮明な3Dモニターでロボット部からの内視鏡画像を見ながら、人の手首よりはるかに回転する関節を備えたアームを遠隔操作することで、精緻な手術を行います。操作部で医師が指先を挿入した装置を動かすと、手の動きがロボットアームに伝わり、手振れなどを補正した状態で指より小さな手術器具が手と連動して手術を行います。ロボット支援手術には、従来の開腹・開胸手術に比べ、患者にとって「傷口が小さい」「出血量が少ない」「手術後の痛みを軽減」「回復が早く短い入院期間」といったメリットがあります。また、精度の高い「ダヴィンチ」手術では、術者が縫合する1㎝手前まで拡大された3D画像を見ながら、かすかな指先の震えさえも自動補正された手術操作を繰り返すことができます。高精度の映像でより近くで、より細部まで見ることができ、従来の手術では届きにくかった箇所まで先端の小さなロボットアームが届くことで、これまで取りにくかったがん病変まできれいに取り除くこができることから、患者の「再発を減らす」、「合併症を減らす」可能性も高まります。

 

サージョンコンソール操作davinci手術2

優れた専門チーム医療の提供とロボット外来の新設

市立伊丹病院では、「ダヴィンチ」の導入に当たり2021年からダヴィンチチームを発足しました。ロボット支援手術施行に向け充分にトレーニングを積み、認定ライセンスを受けた医師、看護師、臨床工学技士などによるチームの協力と管理体制の下、専門的技術を備えたスタッフが連携し安全で安心な医療を提供します。

team davinciシミュレーション
泌尿器科では、2021年7月から火曜日の午後に「ロボット外来」を開設しています。前立腺などの病気を疑われた人は、かかりつけ医と相談し、紹介受診が可能です。また、ロボット支援手術をその他のがんなどでも開始していますので、手術の質問などについては、各科の担当医に問い合わせてください。

ロボット外来外来診察
 

領域別対応手術

泌尿器科

・前立腺がんに対するロボット支援腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術 RARP(Robot-Assisted Radical Prostatectomy)

・腎臓がんに対するロボット支援腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術 RAPN(Robot-Assisted Partial Nephrectomy)

・膀胱がんに対するロボット支援腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術 RARC(Robot-Assisted Radical Cystectomy)

呼吸器外科

・肺がんに対するロボット支援胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 RATS(Robot-Assisted Thoracoscopic Surgery)

・縦隔腫瘍に対するロボット支援胸腔鏡下縦隔腫瘍手術

外科

・直腸がんに対するロボット支援腹腔鏡下直腸切除・切断術 RALAR(Robot-Assisted Low Anterior Resection)

・結腸がんに対するロボット支援腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術

婦人科

・子宮良性腫瘍に対するロボット支援腹腔鏡下膣式子宮全摘術 RATLH(Robot-Assisted Total Laparoscopic Hysterectomy)

手術実績

2021年度
ダヴィンチ実績
2022年度
ダヴィンチ実績
腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術 31例 13例
腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術 4例 4例
腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術
(回腸導管・尿路変更あり)
1例
腹腔鏡下直腸切除・切断術 14例 3例
腹腔鏡下膣式子宮全摘術 4例 2例
胸腔鏡下縦隔腫瘍切除 2例 1例
胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺切除) 11例 5例
2022年度7月現在